私的名演見学忘備録 :stiff little fingers

仕事がいくつか動き出して、今はその仕込みの時間なのだが、そういうときが一番ソワソワして落ち着かない。なんかデザインの神がフーッと降りて来るのを勝手に待っている。自分なりに心を落ち着かせ、清めていると降りて来る筈なのだ。もう最近は神頼みです。

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スティッフ・リトル・フィンガーズの来日公演@エリア最終日に行って来た。この高田馬場のライブハウスに行く前は必ず駅近辺のラーメン屋に寄ってから行く事を非ブルジョワジーの密かな愉しみとしている。昨晩は札幌の「すみれ」の暖簾分けという「純連」で濃厚な味噌ラーメン850円を食す。

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安定した演奏が即ち反義語になるなんて、意地悪を言う気はないがSLFはオリジナルのベーシストのアリが戻って来て頻繁にライブもやっている様で、しっかりとした安定した演奏を聴かせた。遠い彼の地では思っていたよりも大御所として奉られているらしく、そういう事はこちらではなかなかに分かりづらいものだ。ベルファストではもうすこし大きなハコでしっかり埋まるらしい。
"suspect device"や"alternative ulster"等の政治的なパンク・アンセムはギザギザしていたジェイク・バーンズの声がやや柔らかくなり、聴き取り易くなっていたけれど、当時の状況と葛藤を噛み砕いて、後追いの世代に聴かせているというふうに理解した。自宅に帰ってから家人にそんな話をすると「あの頃はそういう唄い方を、ただ、したかったんだよ」と彼女はあっけなく男前な回答を解いた。
ファースト・アルバムでリリース元のラフ・トレードを嘘つきと連呼する曲を不器用に唄っていた彼等は今は継続する事を生業とアティチュードにしたのだなと察する。それは時にこちらの胸にデビュー・アルバムに描かれた9つの炎の様に、今更ではあるが、ポッと小さく火を点ける。


Stiff Little Fingers 「Inflammable Material」Rough Trade/ROUGH 1/UK/1979