私的名盤購入忘備録:09.07.19

薄曇りのうだる様な暑さの中、朝も早くから埼玉に向けて高速に乗る。
いくつかの予定をこなしてから、この展覧会のオープニングに顔出す為に。



長澤英俊展−オーロラの向かう所」2館同時開催、於:川越市立美術館、埼玉県立近代美術館

この展覧会のグラフィックデザインに今回携わった。ミラノ在住の彫刻家の長澤さんは日本人の現代彫刻家を代表する方。重厚でいて軽やかに、立体をコンポジションする。川越の展示方法はショッキングだった。何故かジェームス・タレルを思い出した。是非多くのひとに体験してもらえるといいなと思う。

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オープニングに伺う前のいくつかの用事とは、何の事はない、ああ、また。埼玉近郊のいくつかのレコード屋まわりです。レコードマップで下調べをして、4〜5件まわる予定だった。ところがそのうち2件がお休みだった。結局チェーン店がメインに。

まず向かったのはイエローポップ川口店。高速を美女木辺りで降りて30分くらい、JR川口駅近くにある。ちょうど20%割引中とのことで割引券をプリントアウトして用意万端。着いたらちょうど店が開く時間。冷房の効いた店内の客は自分一人。まずざっと見渡すと半分がレコード。棚は見やすく分かれている。値段は都内と変わらない。でも今日は20%OFFだから。

抜いたレコード:
Buzzcocks 2枚 「Another Music In A Different Kitchen」UA/UAG30159/UK/1978、「Love Bites」UA/UAG30197/UK/1978
Cocteau Twins 「Aikea-Guinea」4AD/BAD501/UK/1985
◉Bryan Ferry 「The Bride Stripped Bare」Polydor/POLD5003/UK/1978
◉Heart 「Little Queen」Portrait/ JR34799/US/1977

足下の棚からバズコックスが2枚、どちらもUAオリジナル。各2000円くらい。love bitesはあまり出てこない。マトも1/1、2/2と多分初版?1stはペッカム刻印あり。
コクトーツインズのこの12inchは持って無かったかな、怪しいけど500円くらいだったので。23envelopeとかBADシリアルには抗えない魔力があるのです。
ブライアン・フェリーはマト1/1。状態もいい。多分持ってる盤も1/1か1/2あたりだがジャケのプレスコートが綺麗だったので買う。帰って見たら自宅の盤も同じ1/1だったがプレス番号が違う。聴き比べると昨日買った盤のほうが音の鮮度が高い。こういうことはままある。逆ならドッと疲れるとこです。ああ悩ましい(笑。
ハートのナンシー・ウィルソンが中学生の頃好きだった。そういえばこの「Little Queen」は紙ジャケにならないのはportraitというレーベルだからなのだろう。権利関係が難しいのか。バラクーダは名曲です。オリジナル盤であろうこのレコードは全面エンボス仕様なのだがウィルソン姉妹の顔部分のみエンボス無しだった。多分にテクスチュアで顔にひび割れた様な感じを嫌ったと思われる。姉のほうが。邪推です。音の方も、あの当時の湿ってないzepみたいなハードロックがふくよかに刻まれてる感じで、懐かしかった。
全部で6000円しないくらい。うん、楽しかった。


次は浦和のaskatasuna recordsに向かった。途中、餃子の王将見つけて昼御飯。大学時代はほんとにお世話になった王将。うちの近所に大阪王将があるんだが、なんか違う。やっぱり京都王将天津飯と餃子注文。あら、天津飯の甘酢がなんか関西と違う。餃子が生焼けだ。3つ食べた後でこりゃ無理だと思って「生なんですが」と言ってみた。早速新しいのが6個来た。計餃子9個いただきました。すいません。


ところがaskatasuna recordsに着いたらお休み。レコードフェアに出かけてますとの張り紙。縁がなかったということで北浦和ディスクユニオンに向かう。ここはたまに仕事の打ち合わせ帰りに来る。駐車場があるレコ屋は都内にはあまり無い。嬉しいです。知る限り吉祥寺のココナッツくらい。
抜いたレコード:
◉Holger Czukay 「On The Way To The Peak Of Normal」EMI Electrola, Welt-Rekord/1C 064-46 400/Europe/1981
◉The Fall「This Nation's Saving Grace」Beggars Banquet/BEGA67/UK/1985
Harold Budd / E.Fraser / R.Guthrie / S.Raymonde 「The Moon And The Melodies」4AD/CAD611/UK/1986
Chrome「Red Exposure」 Wea/BEGA15, P-10847J/Japan/1980

ホルガー・シューカイはこのアルバムだけ縁がなかった。A面を占める"ode to perfume"は素晴らしい。cool in the poolよりもperusian loveよりも素晴らしいと思う。未だ手に入らないLes Vampyrettes "Biomutanten"というコウモリのジャケの12inchもこの時期なのだな。ホルガー本人が奏でる”the vibrato”ギターと短波ラジオは同じ「揺れ」の概念を持つ。
フォールのベガーズバンケット時代はこの辺りからリリースが混沌としてきて何がなんだか分からなくなる。多作なのは手塚治虫とかザッパとかヤンデクと同じ理由で多作なのだ。だから駄盤が無いともいえるし、ファンは大変だ。オール・オア・ナッシングです。これまた悩ましい。
ハロルド・バッドコクトーツインズコクトーツインズは今中古盤の棚にゴロゴロしている。今は多分コンプリート出来る。当時はやはり12inch一枚1800円かな。今、親の敵の如く買う。
ロームも何故か一枚だけ日本盤が出た「赤い露光」が300円棚にあったので抜く。1980年辺りは買わなくてはいけない盤が多々あったので、これは後回し盤だった。スーサイドの昨今の評価とクロームの評価はなにか決定的な差があるように思うが、ナインインチネイルズあたりが継承しているのだろうか。よく聴いた事が無いがNINはPVで観たマッチョなトレント・レズナーがなあ...。
オレンジ色盤が20%OFFとの事、4枚で確か3500円くらいだったかな。


そろそろ時間が気になってくる。急いで大宮の「グリグリ」レコードに向かう。
大宮とか川口も結構、街がでかい。なんか東京に首都機能が集まっている部分をこのあたりまで広げて首都とする、などとすればいいのに。なんて暑さでぼんやり妄想しながら大宮に着いた。ああそうだここは浦和レッズではなく大宮アルディージャだ。赤からオレンジに色が変わった旗が街中に。先週の府中は赤青でした。
「グリグリ」はダウントゥアースなお店だった。そうだよなガンボでセカンドラインですよね。名前からして。小さいお店だけどこういう店は絶対に正しい。値着けの高い安いはしょうがない。でもレコードが綺麗だ、というか丁寧にレコードを売っている。野菜と果物を美味しそうに売っている店と同じ感じがする。あと店番のお姉さんが綺麗でした。重要。
抜いたレコード:
◉Chris & Cosey 「Technø Primitiv」Rough Trad/ROUGH84/UK/1985
◉Sex Gang Children「Song And Legend」Illuminated/JAMS666/UK/1983
◉Martha Argerich「Maurice Ravel/Gaspard De La Nuit」Polydor/MG2501/Japan/1976
フリートウッド・マック/日本盤シングル「シンク・アバウト・ミー」Warner Pioneer/P554/1980
イアン・デューリー&ブロックヘッズ/海賊版DVD「Kilburn Brats」


多分お店の押しとは違う棚からばっかり抜いている。クリス&コージーとセックスギャングチルドレンは足下の棚から。C&Cはラフトレード原盤で1400円、安い。SGCも当時ポジパンなんてちょっとお笑いだったが今聴いてみるとサザンデスカルトなんかも切羽詰まった面白さはある。「Song And Legend」は日本盤はよく見るが、オリジナル盤だし、ジャケットのセンスは好きだ。タイポもいい。内容よりそれ以外のディテールばっかり言ってるな。
日本盤シングルが充実していて390円でフリートウッド・マックのtuskからのカットがあった。tuskは一番好きなマックのアルバムなので、もうこれも縁と思って買う。ジャケ写真がノーマン・シーフのアザーカットだ。なんて、勝手な理由付け。所有の歓びのみ。
ブートDVDも買う。イアン・デューリーの78年のロックパラストのライブ。早速昨晩観た。映像ガサガサ(笑。ノーマン・ワット・ロイが若い。というか髪がある。来週ウィルコ・ジョンソンと来るリキッドルームに行くので、いまや志村けんの様なノーマンにお会い出来ます。後半はBBCのドキュメント番組まるまるだった。その中にキルバーン&ハイ・ローズの映像があった(!)。ブート1400円を高いとみなすか。いや、どうだろう。友人2人くらいとの話の種になるからいいのだ。
レジで会計中、クラシックの棚が有る事に気づき、お会計待ってもらって一枚だけ抜いた。アルゲリッチのレコード。ドイツ・グラモフォンの国内盤、690円。アルゲリッチとかデュプレとかは流石に面白い。今日ずっとリピートしている。盤もピカピカでした。
日本の中古レコードは比較的綺麗だ。高級品だったし丁寧に扱うのが当然とされてきたから、海外の市場でも日本盤はmintだと評判が高いと聞く。考えたら、レコードに名前を書く、丁寧に扱わない、傷だらけボロボロ、こんなアメリカの中古レコードは多い、というか殆どがアメリカ人が所有していたレコードはこうだ。こういうメンタリティのひとたちだからこそ、世界情勢を丁寧に扱えないのだと、極論だけど思ってしまう。ワールドポリスのつもりのあなた達、何にでも名前を書こうとしたがるのは止めたらどうだろう。
またパフューム特集(笑)のミュージックマガジンも入れて、全部で確か5000円くらい。


時間がぎりぎりになってきたので、最期に川越のDA CAPO RECORDを目指す。
あることに気がつく。道が細い。でも車が多い。皆が車で移動するのに車線が少ない。昔の街道筋でも古くからの家並みに従って車線を増やせないのだろう。すなわち渋滞になるのだ。
その渋滞の中とろとろとやっとついたレコード屋はあるはずの場所に見当たらなかった。
クロネコヤマトのお兄さんに聞いたら、無くなったそう。よくある話で埼玉レコハンの旅は終了した。