キリンジ


キリンジのライブのDVDを貰った。日比谷野外音楽堂で2007年に撮られたもの。

富田恵一という昔のバンマスが居た頃のライブを一度観に行った。ほぼ女子に囲まれて観た。よく言われていたスティーリー・ダン的な印象は、音作りではなくむしろフェイゲン、カッツ組のひねた含蓄(?)や屈折した結婚観・女性感、終末感漂う歌詞からの影響のほうが大きいのではと、ずっと思っている。

彼等の”エイリアンズ”という曲はすごい。歌詞なんてレイモンド・カーヴァーの短編の如く響く。
この曲はサバービアの憂鬱を東京の西の辺りにでも置き換えて書かれたかのような佇まいだ。ダンの”peg"や”hey nineteen"がNHKのFMから夕方流れて来た、あの感じがする。軽音楽を貴方に。

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2、3年前に出た弟のソロアルバムはロバート・レスター・フォルサムのカバーなどという渋い曲から始まる。今もたまに無性に聴きたくなる。が、キリンジ本体は「3」という三枚目のアルバムを結局越えるものが出来てないように個人的には思う。とはいえこれくらいスムースで、音楽的で、思慮深い楽曲群を奏でる日本人を自分はあまり知らない。あまり噂を聞かなくなったママレイド・ラグとか、ギロなんかもその後どうしたんだろう。曽我部恵一なんてピースの押し売りみたくなってしまった。
更なるブレイクの期待なんて大きなお世話だろうが、キリンジの音作りに反応するのが楚々とした穏やかな文系女子と、”aja"のメローな幻影を追っかけるオッサンだけというのは、もったいないと思うのだ。