恋することのもどかしさ

こんなの拾った。友達とはぐれた猫と親切な男。



ぬこ「...えー。あのー。みんなどっち行ったか知ってますか?」
男「ん? あっちみたいよ」
ぬこ「アリガトウサギ!」

                                                                                                                                                                • -

またもやアンコの話。
頂き物の豆大福。神宮前の瑞穂という店の豆大福。
http://r.tabelog.com/tokyo/A1306/A130601/13001154/


まず口にしたらほんのすこしの塩気のある粉の味がする。続いて来るこしあんの甘さと絶妙にすこしの塩加減が混ざって、頬がニターと緩む。ほんとうに美味しいお土産を知っているひとというのは居るわけで、それは作法に長けたそのひとの日常を見るような気がした。

                                                                                                                                                                • -


Paul Mccartney "Mccartney" /Original Recording Remastered, Special Edition/2011
中学生の頃、深夜ラジオあたりで初めて聴いたウイングスの新曲「ハートのささやき」。当時最新アルバムだった3枚組の”USAライヴ”からのシングルカットだった。原題は”Maybe I'm Amazed"で、ビートルズ崩壊後の最初のソロアルバムの、今思えば、多分、リードトラック。今現在もポールはライブでほぼ演奏している事からも察する。
この曲がファーストアルバムの時点では「恋することのもどかしさ」という邦題だったことを20代に300円くらいの中古の日本盤で買って、そこで知る。何故2つも邦題があるのかは知らない。恋する事はアメイズドでコンフューズドであるから、「恋することのもどかしさ」でいいと思う。そのもどかしい気持ちは亡くなったリンダ・マッカートニーに向けたもので、2番目の細君には慰謝料ごっそり持って行かれた後、最近3人目の奥君(若く無い)を娶ったポール。皆がもどかしい気持ちで居ます...。
話を戻すと、バンド・オン・ザ・ランに次いでのリマスター・シリーズという訳で発売されたばかりの”マッカートニー”を買ったのである。購買意欲は何所かというと「恋することのもどかしさ」がリマスターヴァージョン含め、デモ、ライブと3曲入っているからで、繰り返しそればかり聴いている。

        • -

リマスタリングはガイ・マッセイとスティーヴ・ルーク@アビーロードスタジオ。HDトラックスからFLAC音源が今なら20ドル以下でも販売されている。早くにアマゾンにて予約したのに今のユニオン店頭で500円も安いのは如何なものか。この辺の見極めが難しい。今はピュア・オーディオ的には何を購入すべきか。結局(所詮)詰まる所データという事になってしまっているわけで。

ジャケの作りはここ最近のビートルズ復刻紙ジャケ風CD仕様・変な白ふち付で、プロダクトとしては微妙な感じではあるが、このオリジナルジャケット自体の謎のザックリした意匠は好きだ。裏の写真でポールが抱く赤ちゃんは次女のステラ・マッカートニーだとずっと思っていたら長女だったみたい。ブックレットの長女だと思っていた女の子はリンダの連れ子の様で。ステラは今やスターデザイナーと成ってしまったね。ステラ・バイ・スターライトと心の中で呟いてみる。

このアルバムの素敵な所はポールが演奏を重ねる脇で座ってそれを聴いているかのような錯覚に陥る、そういう体験が出来る彼のただ一枚のレコードである所だ。アルバムには10曲以上あるが彼の様な立場以外の作家がレコード会社に聴かせたら駄目を出される曲が8〜9曲。エミット・ローズやクリス・レインボウならやり直し。「恋することのもどかしさ」と「エヴリナイト」が合格点。敢えて言えば「恋することのもどかしさ」は"ジョンの魂"ならば「God」だ。ただ単に資質が恋愛体質なのがマッカートニー氏なのだ。歌詞は歌詞でしかないポールのその素晴らしさ。いやどっちがエライもないけど。

        • -

ワインをやりながらポールはピアノをぽろぽろ弾く。鼻歌を録音している。その部屋に招いてもらっている。それは手ぶらではもうホント申し訳ない。美味しい豆大福を持参するくらいの。そのくらいパーソナルな疑似体験を強いる不可思議なレコードだとリマスター盤聴いて実感している。