campolano

お題に対してデザインのアイデアが自動筆記の様に湧いてくるような訓練を日々するべきなのだろう。それが出来ないので駄文を綴ったりしてるとどうにかなるかと前回の日記のようなものをアップしてはみるものの、ただのsuperflyについての謗りみたくなってしまう。まあsuperflyに悪態つくのはいくらでも可能ですが。バックボーンの無い声量だけある女の子が付き合った男の趣味に引っ張られ、ジャニスとか他3つくらいのソースから音楽を始めては見たがレコード会社の親爺達のロックな気分の慰み者となってしまい、ロックな歌姫を背負わされて、しかしバックボーンが無い故、ただ大声でメロディを振りまわすだけのロックのようなものにまた親爺たちは結構いいよねみたいな。何をあんたらは聴いてきたのだ。眼が濁っているのか。

ああ、仕事のやり方についての話だった。で、くすぶるその日の気分は夜、SAKANAのライブを観に行く事で紛らす事とした。

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新宿ロフトにオープン定時に入り幾つかの対バンを観る。ケヴィン・エアーズだったかブリジットst.ジョンだったかのカヴァー曲を知らない2人組が演奏しているのをぼんやり眺めていると、懸案の仕事がうまく進まない事も次第に忘れている。
9時を廻ると幕が開き、SAKANAの2人が現れ、いつものように訥々と演奏が始まる。PAの位置なのか、ポコペンさんの声が遥か遠く、高い所から降るように我々に届く。受胎告知の絵画のような細い光が漏れるみたいに。新譜「Campolano」からの楽曲の印象は、ボッサのコード感を伴って水が滲みるかのような柔らかい旋律と、以前とはすこしニュアンスの違う西脇氏のギターのトーンがうまく絡んだ、静かな多幸感に溢れたものだ。西脇さんのすこしビザールなシェイプの(ダンエレクトロ?)ギターはすすけた緑色をしており、不思議にもその音色は緑色である。そういえばマーク・リボーの音色は黄土色なのに少し角度が変わるとコガネ色に見えるね。ヴィニ・ライリーはマンチェスターの雲色だ。西脇さんの簡素なそのトーンは玉虫の背中の青と黄色の混ざった緑。
45分くらいの短い演奏時間が終わり、真水を一杯飲んだように頭がしゃんとした気持ちになり、刺々しい気分だったその昼間の自分は、また何所かに出かけていってしまった。

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SAKANA HP__http://www.h6.dion.ne.jp/~sacana/index.html

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暢気なもんで、その翌日、朝一番でMacに向かい、懸案事項のタイトルロゴを組んでみると、かたかたと歯車が廻りだしポロポロとアイデアや思考の整理が始まった。フィールド・ワークだとは言わないものの街に出て風を切ったり匂いを嗅いだり、五感をつついてみると物事は機能し始めるという摂理を教えられる。ふらりと外を徘徊するその良き確証、というよりライブハウスにダラダラと遊びに行く家人に対する勝手な(うしろめたい)口実を書き留めているだけとも言えるけど。

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先日オークションでレコードのクリーニング・マシンなるものを落札した。


米国ニッティ・グリッティ社のもの。今、国内にはこの品番NittyGritty2.5Fiは入って来ていないみたい。バキューム機能と回転機能があるものといえば、キース・モンクスやVPIも有名です。ニッティ・グリッティ社はややそれらに比べてコンパクトであるし、なんといってもオールドな木目調がいいと思う。家人はその落札に神妙な顔つきであったが実物見ると、あら、可愛い、との事で一安心...。

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自分なりのクリーニング方法を考える。まず乾式クリーナーで埃を取る。次に自分で調合した洗浄液(精製水+無水アルコール+界面活性剤)を無印の化粧品用ボトルで盤にスプレー。レイカのA液の代わりです。これをレイカビスコの代わりの安価なベンコットという布でまずざっと拭き取る。ここで茶色い汚れや指紋、カビなどを除去。その後、スプレーでもう一度洗浄液をまんべんなく、やや多めに吹く。それを米国VPI社のブラシにて盤をブラッシング。

これはネットで探すと歯ブラシのデンターシステマの毛先とかが代用となるみたいですが、如何せんLPレコード用には4つ程繋げなくてはという無謀な工作が発生するので米国から通販で購入。送料併せて18ドルくらい。
http://www.elusivedisc.com/prodinfo.asp?number=HW-3117
毛先で盤の溝から塵を掻き出すイメージでブラッシングしたら、それをニッティ・グリッティに乗せる。スイッチを入れるとバキュームが始まるのだがしかし、噂通りにこれ、本当に五月蝿い...。結構熱くなるし、15枚程で一度休憩推奨みたいな事らしい。この液体を吸い取った後に溜まるタンクがあり、プッシュボタンがあるので多分そこ押して排出という構造みたいである。なかなかに良く出来ていると思う。実際は超音波洗浄なんかの効果の程と比べるとどうなんだろうとは思うが。外周に少し液体が残るのはベンコットで拭き取って乾かす。
それをSK-EXという帯電した静電気を取る魔法の箱に入れる。
http://www.yukimu.com/products/SFC/OLDMODEL/SK_EX/a09a1/skex.html
この除電素材をフェルト状に加工したサンダーロン・フェルトとやらを敷き詰めた箱にレコードを入れるとほぼ静電気が0になる。実は何よりアナログ盤のアクセサリーとしてはこの箱が有効だと思っている。レコードのサーフェスノイズより静電気のほうがノイズの発生源としてはSNに影響があるだろう。帯電防止の液体を使うよりターンテーブルに乗せる前に入れる癖をつけたほうが得策だと思う。ここに30秒程入れて終了。最初に試してみたバーニング・スピアの「マーカス・ガーヴェイ」VG++、細かいキズ盤から出るチリチリも半分くらいに聴こえる。

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使ってみて思ったのは、この類いのクリーニング・マシンは猛者であれば掃除機で工作出来るかもしれないがそんなことすると見た目はもう問題外であろう。VPIのマシンなど550ドルくらい、日本までの送料併せて800ドル強。同じものを日本の代理店は11〜13万くらいで売っている。一瞬VPIを、と思ったがこの木箱の様なニッティ・グリッティがアメ車の木目のワゴンとかが阿呆みたいで可愛いと思う自分には結構ツボなのです。同士のレコード(掃除)馬鹿の皆さん、ゴッドブレスユーそしてユールネヴァーウォークアローン。