ルーシー・リーとアニッシュ・カプーア

先週、小雨のそぼ降る中、国立新美術館でのルーシー・リー展のオープニングに誘われるまま出かけた。上手く出来てるのかよく判らない黒川紀章設計の大仰な建物の中で知り合いを待つ。ほどなくして待ち人と合流し、オープニングでごった返す人並みをかきわけ、その隙間から陶器のかたちを眺める。
実のところでいえばルーシーのイギリス時代の同士のハンス・コパーの方が好きだ。同時代の作家としてはコパーの、よりミニマルな、ジュイッシュの波乱の自出を濃く感じさせる作風の方に共感する。ルーシー・リーのレトロスペクティヴとしてはほぼ完璧な展示であろう会場の中で大勢の、若い女の子から妙齢の女性までに囲まれながら、ああ自分がもし彼女達だったらとんでもなくウキウキした気分なんだろうなと思った。
ルーシーの器や陶器のボタンからはフェミニンな色合いやフォルムや佇まいが静かに主張している。宮脇綾子のパッチワーク作品とか、石井好子の料理に関する書き物や、ミナ・ペルホネンの洋服なんかに触れた時に、男である事でまるで損をしたかのような、あの気分になった。
ルーシー・リー展」☞ http://www.lucie-rie.jp/

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今やってるこの企画展を連休中に行こうと画策。「アニッシュ・カプーア展」2010年4月27日(火)→ 6月19日(土)@SCAI THE BATHHOUSE

「Shooting into the Corner」、2008-09年、ミクストメディア、サイズ可変 インド、ムンバイ出身、在ロンドンの彼の作品はターナー・アワードで一度見た。有名なのはテート・モダンでのタービン・ホールを使ったどでかい朝顔のようなラッパのような作品だろうか。一番見たいのは上記の写真の、大砲に込められた赤黒い液体を発射するインスタレーション。実際に見た知り合いの話だと超ブルータルで興奮したらしい。
15分くらいに一回、そのときはギャラリーの壁に穴を開け、隣の部屋からこちらの部屋に爆音で射ち込むという衝撃の展示だったとの事。何時射たれるかが分からないので皆、唾飲み込みながら待っているそうだ。ポリティカルな深読みも出来るし、単純に赤く黒い色がむしろ理知的でとても美しいらしい。簡単に言うと、ブルータルな発射行為で何かから解き放たれるという気分だと推測する。多分これはあすこの風呂屋では展示無理だと察します(笑。☞http://www.scaithebathhouse.com/ja/