GW

突然段ボールのpassのシングル「ホワイトマン/変なパーマネント」をWAVでリッピングしてiPod→WadiaのiTransportで聴いている。驚く程生々しく濃い再生。今更ながら聴き惚れる。

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混雑が嫌なので長い休みにはにそういう所には極力行かない様にしている。しかしながら今年のGWは仕事の打ち合わせを兼ねて、神戸〜大阪〜京都で前半を過ごした。GWに東京以外の場所に居るのは何年ぶりか。ましてや連休初日の新幹線に乗るとはなあ。
やっぱりこのところの過敏な毎日で情けない事にかなり消耗していて、家人にもプラっと出かけてきたらどうかと後押しも貰い、数日西の方でひとり眠る事にしたのだ。

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神戸にて新しくもらった仕事の打ち合わせを(タイミング良く)ねじ込んで、その後はレコード屋を散策したり、好きなものだけを食したり。気味の悪い揺れに起こされる事無く朝まで眠る。それだけでどれほどの英気を養うことができるか。家人に感謝。

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神戸をその日のうちに大阪に移動して難波ベアーズにてマヘルシャラルハシュバズを観る。最近、灰野さんと工藤冬里ばっかり。震災以降の工藤冬里の初見は”無駄な言葉の一切無い”言葉数の多いセット。
マヘルを観終わったらベアーズを出てすぐそばの店でタコ焼きをツマミに呑む。キャンディーズが有線で流れている。晩飯は夕方、自由軒のカレーを喰ったばかりなので6個のタコ焼きで充分である。早々にホテルに戻りぼんやりと深夜番組を見ながら床に着く。

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翌日、大阪から京都に移動。夏日のような日差しの中、友人3人と合流して伊藤若冲水墨画を観に禅寺、相国寺の中の承天閣美術館に赴く。
その前に腹ごしらえを。連れられるままに河原町三条の天麩羅屋「点邑(てんゆう)」。俵屋の支店だそうで。近況など報告しながらの食事も自然とこの国を憂う話に変わる。必然的に変わっていく。


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円山応挙長谷川等伯も所蔵する相国寺。葉の緑のグラデーションが目にも優しく、穏やかな心持ちになる。
50面に渡る若中の展示は圧倒的な画力と構成力で爽快な気分にさせられる。同行の友人Nいわく「多分(描くのは)相当早いやろな。あっというまやと思うで。」この迷いの見えない筆圧に達するまでの道程を想うと気が遠くすらなるのである。

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一息つきに三条まで戻って、まあお約束のイノダコーヒー。ここではコーヒーより、このごく普通のアップルパイが好きです。で、また憂国の話に皆で戻る。

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東京に戻る友人達と別れて自分だけ京都に2泊。ネットで直前に取ったホテルはまだオープン2日目という新しい宿だった。


エントランスには何故か、名和晃平作品。




このホテルの独特の佇まいや意匠を居心地良いと思うかはその人次第で、個人的にはウーンという感じ。ハリボテ感が強いと言ったら失礼か。東欧にあって築40年、とかなら好きだと思うけど。画像での眺めが良くとも居住性が歪だとそれは本末転倒であろう。

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地下鉄で再び河原町まで戻って、アーバンギルドという店でSAKANAのライブを観る。
旧い雑居ビルの3Fのこのライブハウスはとても感じがよいです。高い天井。昔の小学校みたいな木の床。良い鳴りを直感する。


数年ぶりに観たSAKANAは、いつものポコペンさんの邪気のない立ち姿といつもの西脇氏の飄々とした絶妙の距離感に、久しぶりで帰省する町の懐かしさみたいな安堵感を感じる。
結構その時々でスタイルが微妙に変わるSAKANAが、いまは例えるならMBPの芳醇なメロディとコード進行を基盤にするかの如しのふくよかな印象、それでいて2人のギターの凛としたトーンは以前にも増して透明感のある明快なアンサンブルを奏でており、実は今のSAKANAはこれ、或る意味ピークなんじゃないの!?とすら思えるくらい純度の高い演奏であった。メリー・フォードとレス・ポールを少し思い出したりもした。
対バンのthe NOには悪いけどもこの軽い酩酊のような気分が心地良いので早々にアーバンギルドを出て高瀬川沿いを歩く。角を曲がると、お!京都を代表する中華ソバ、新福菜館の支店を発見。SAKANAの余韻などすっかり忘れて、ふらふらとそちらに吸い込まれた。