「指に湿疹」と書いたら「唇によだれ」という映画を思い出した

指に湿疹が出来てむず痒いので近所の皮膚科に行く。うちの近隣の皮膚科はどこも美容系のおばさま向けなのか謎のハイソ感があり、そこは遠慮したい。その中で一番古い作りの寂れた感じの町医者に決めた。汚い中華料理が美味いんじゃないかと思い結構トライするのが好きで(まあ大体において汚い店は経験から言ってハズレのほうが圧倒的に多い)、その体で病院を決めた。多分それは間違っているけど、指の湿疹程度だからいいのだ。
外観から連想されたとおりの古ぼけた病院の内装にさして驚きはしない。子供の頃熱を出して注射を打たれたあの地元の町医者の感じを思い出す。齢80くらいのお医者さんが診察後、薬を出してくれる。これを塗ってみて。で、あんまり変わらなかったらまた来て。1030円払ってから丁寧に御礼を言って外に出る。じりじり暑い午後3時半。うちまで歩きながら思う。指の湿疹ぐらいでわあわあ言う事は全く無くて、そんな事よりこの晴れた夏の夕方の町に、昨晩TVで観た放射線を可視化したという赤い点々がぱらぱらと舞い降りる絵を想像して、ぞっとするというより半ば諦め気味の半笑いに成っている事がまこともって、なんでこんな事になっているんだろうとまたもや思考がぐるぐると巡る。

                                                                                                                                                                • -


この曲に繋がってあの曲が!みたいな驚きが新鮮!てな事に何か嫌悪感がずっとあって、iPodのシャッフル機能というものを使ったことがなかった。ある日何故だかシャッフル機能をONにしてみたところ、なんだよいい曲ばっか入ってんな俺のiPod的な(笑。そりゃそうだ、好きなアルバムしか入れてないから。あっさりその日からシャッフルでしか聴かなくなってしまった。意固地にやり方とかルールを決めてたのがなんだか馬鹿みたいに思えて、ニアリスニング?そんなの狭いうさぎ小屋の慰めから出来た造語だろうと意地でもスピーカーから距離を取って聴いていたのに、ちょっといいデスクトップ用のスピーカーを手にいれて、あっさり眼前にルー・リードやらブライアン・フェリーとかが入れ替わり立ち代わりぴったりと定位する段になったら簡単に前言撤回する、そういうもんです。
というわけで今もthe smithsの後にleaf houndが流れる。その前は荒井由美のミスリムからの曲が流れていた。そのもっと前にはクリス・ハーウッドが鳴っていた。


Chris Harwood「Nice To Meet Miss Christine」Birth(RAB1)/UK/1971
紙ジャケCDで持っているクリス・ハーウッドの唯一のアルバム。1971年にLP一枚ぽろりと出た後彼女はそれで忽然と消えたという。ただし参加ミュージシャンはクリムズンのイアン・マクドナルド、イエスピーター・バンクスを筆頭にストローヴスのデイヴ・ランバートリフラフのロジャー・サットン等、プログレ人脈のジャジーなバッキングで、アフィニティとかリンダ・ホイルのソロとかのああいう燻された香りもする好盤。トラフィックのカヴァーの2曲目が秀逸かな。イアン・マクドナルドのフルートが奏でられるとつい聴き入ってしまう。あらいいですねー、でも、お高いんでしょう〜?とかそういう下衆の勘繰りも働く、価格も吊り上がる、そんな音色である。