私的名演見学忘備録 :コンゴトロニクス

繰り返す このポリリズム

        • -


                                                                                                                                                                • -

昨晩、渋谷クアトロにて、コンゴトロニクス(コノノNo.1+カサイオールスターズ)withフアナ・モリーナ、スケルトンズ
電気親指ピアノとはカリンバをエレクトリックな増幅にてジミヘン、みたいなものを想像していたのだが、やっぱりプリミティヴな仕組みだろう素朴な可愛らしい音色の楽器であった。そのリケンベという楽器を祝祭のリード楽器として進むコンゴトロニクスwith西欧人ミュージシャンは単純に何と言えるようなものではなかった。
昨朝、ピーター・バラカンさんのラジオにゲストで出た小編成のコンゴトロニクスのその演奏はモヤっとしたトランシーなもので、カサイオールスターズの爺さんの声が絡むと急に理知的な印象に変わった。その前にバラカンさんがTヘッズのリメイン・イン・ライトからの曲をかけたりするもんだから、揚がって来て、当日券で観る事にした。

        • -

このプロジェクトにクラムドディスクのPrdが関わっているとtwitterサラーム海上氏の呟きで知る。成る程。調べると昨晩もベースをプレイしていたヴィンセント・ケニスという男、アクサク・マブールとハネムーン・キラーズのメンバーであった。はあはあ。ザズー/ビカエとかも彼の仕事だ。そう思うとこの夜の不思議な着地感も合点がいく。
トランス感をレイヤー加工したような演奏は複数の出自の異なるミュージシャンが緩く紡ぐ故に、もわーんとモアレの網点の様なダンス音楽となっていた。壮快な気持ち悪さとでもいうような気持ち良さがこのプロジェクトの良く出来たところであり、Tヘッズのソリッドなそれとはちょっと違った。フアナ・モリーナの貢献度が高く、違和感が無いのも意外だったし、始めてフアナを良いなと思った夜。スケルトンズのサポートも的確だったし、相当皆で練習している感じというかキチンとスタジオ入ってるのがみえる。
キンシャサ(!)の漢(爺)と、カサイ州選抜と、アルゼンチン音響派と、ブルックリンシーンの先鋭が一同に集うその全てが面白いかといえば、昔からあるマルタン・メソニエとかビル・ラズウェルとかのプロダクションにある少しのまやかしの部分も有るのだが、ある時フワっと立ち現れる覚醒が尊さを伴って一瞬目眩がする。そういう瞬間があればそういうものでいいと、心持ちはフラットに、寛容に、ものを考えるように成っているのは日和っただけではなく何かの力が自分を押しているのかもなあと自答などもしてみる。

「指に湿疹」と書いたら「唇によだれ」という映画を思い出した

指に湿疹が出来てむず痒いので近所の皮膚科に行く。うちの近隣の皮膚科はどこも美容系のおばさま向けなのか謎のハイソ感があり、そこは遠慮したい。その中で一番古い作りの寂れた感じの町医者に決めた。汚い中華料理が美味いんじゃないかと思い結構トライするのが好きで(まあ大体において汚い店は経験から言ってハズレのほうが圧倒的に多い)、その体で病院を決めた。多分それは間違っているけど、指の湿疹程度だからいいのだ。
外観から連想されたとおりの古ぼけた病院の内装にさして驚きはしない。子供の頃熱を出して注射を打たれたあの地元の町医者の感じを思い出す。齢80くらいのお医者さんが診察後、薬を出してくれる。これを塗ってみて。で、あんまり変わらなかったらまた来て。1030円払ってから丁寧に御礼を言って外に出る。じりじり暑い午後3時半。うちまで歩きながら思う。指の湿疹ぐらいでわあわあ言う事は全く無くて、そんな事よりこの晴れた夏の夕方の町に、昨晩TVで観た放射線を可視化したという赤い点々がぱらぱらと舞い降りる絵を想像して、ぞっとするというより半ば諦め気味の半笑いに成っている事がまこともって、なんでこんな事になっているんだろうとまたもや思考がぐるぐると巡る。

                                                                                                                                                                • -


この曲に繋がってあの曲が!みたいな驚きが新鮮!てな事に何か嫌悪感がずっとあって、iPodのシャッフル機能というものを使ったことがなかった。ある日何故だかシャッフル機能をONにしてみたところ、なんだよいい曲ばっか入ってんな俺のiPod的な(笑。そりゃそうだ、好きなアルバムしか入れてないから。あっさりその日からシャッフルでしか聴かなくなってしまった。意固地にやり方とかルールを決めてたのがなんだか馬鹿みたいに思えて、ニアリスニング?そんなの狭いうさぎ小屋の慰めから出来た造語だろうと意地でもスピーカーから距離を取って聴いていたのに、ちょっといいデスクトップ用のスピーカーを手にいれて、あっさり眼前にルー・リードやらブライアン・フェリーとかが入れ替わり立ち代わりぴったりと定位する段になったら簡単に前言撤回する、そういうもんです。
というわけで今もthe smithsの後にleaf houndが流れる。その前は荒井由美のミスリムからの曲が流れていた。そのもっと前にはクリス・ハーウッドが鳴っていた。


Chris Harwood「Nice To Meet Miss Christine」Birth(RAB1)/UK/1971
紙ジャケCDで持っているクリス・ハーウッドの唯一のアルバム。1971年にLP一枚ぽろりと出た後彼女はそれで忽然と消えたという。ただし参加ミュージシャンはクリムズンのイアン・マクドナルド、イエスピーター・バンクスを筆頭にストローヴスのデイヴ・ランバートリフラフのロジャー・サットン等、プログレ人脈のジャジーなバッキングで、アフィニティとかリンダ・ホイルのソロとかのああいう燻された香りもする好盤。トラフィックのカヴァーの2曲目が秀逸かな。イアン・マクドナルドのフルートが奏でられるとつい聴き入ってしまう。あらいいですねー、でも、お高いんでしょう〜?とかそういう下衆の勘繰りも働く、価格も吊り上がる、そんな音色である。

私的名演見学忘備録 :The Zombies

50年。ゾンビーズ始めて50年だって。
一口に50年と言っても浮き沈みはあれど相当に大変なものに違いない。ましてや動かなくなる指とか細くなる喉を思えばプロフェッショナルとは過酷な毎日の積算なんだろう。ただし若かりし時にインフルエンスされたR&Bであるとかバッハの衝撃が未だにロッド・アージェントコリン・ブランストーンを突き動かしているのだろうな。

        • -

今回ゾンビーズを名乗った彼等の来日公演は2日観た限り、大変盛況でした。大きなハコで一日より安いハコで数日間は理に適っている。なぜなら自分の様に東京3日公演あればいきおい3日全て行きたい輩は結構居るからなあ。小金持ちの親爺達を狙った良く出来た商法です。まあ頑張って2日間、乗っかる事にした。

                                                                                                                                                                • -

今回、初日で既にロッド・アージェントの体調が悪いのが見て取れた。BB5やホリーズ同様、複雑なハーモニーが魅力でもある”オデ&オラ“期の楽曲は、初日の6曲のみロッドの声が被さり何かスペシャルなマジカルな瞬間が立ち昇った。2日目と3日目はそこから2曲削られていたので初日だけをご覧になった方は幸運でした。そう、老人達の来日公演は悩ましい。普通最終公演が一番盛り上がったりすると思うのだが彼等の場合は違う。だんだんと疲れてしまうから。ブライアン・ウィルソンとかジョアン・ジルベルトとか、初日がベストだったりする(笑。

        • -

初日はアージェント&ブランストーン名義では無いというだけで我々客の期待値が数倍にもなって、諸手を挙げての歓迎という趣があり雰囲気は最高でした。対バンのナッジエムオールが一発目から「僭越ながら」のひと言入れてからクリス・ホワイト作の" This Will Be Our Year"のカヴァーをかます。ナッジ最高にグッジョブ!
で、自分の前にもひとつ対バンのエイトの若者衆の親御さん達が陣取っていたみたいで、ゾンビーズを見学中"2人のシーズン"の途中で、あ!これ、CMのあの曲!?みたいになって、え!この人達そうなの!?みたいなちょっとした騒ぎがあって微笑ましかったです。

        • -

コリンは未だ高いキーにもトライしており、最近観たオヤジボーカリストだとコロシアムのクリス・ファーロウに次ぐ頑張りであった。そういう意味ではミック・ジャガーやジョン・フォガティは凄いわけです。今回ベースはアージェント、アリスタ時代キンクスのジム・ロッドフォードが来日しており、ドラムは息子さんだそうです。ロッドはジムのいとこらしく、我々はファミリー・ビジネスなんだと言ってました(笑。ギターのトム・トゥーメイのサポートも達者で素晴らしかったがジョン・ヴェリティがもし来ていたらと想像する。渋すぎるね。というか、それまんまアージェントか(笑。
まんべんなくキャリアを俯瞰した様な選曲でそれぞれ思い入れが違う客層にもキチンと対応していた。正式には2枚しか無いゾンビーズ。「Begin Here」の”サイレンスなビート・グループ”という趣の録音が他とは一線を画した品の良さというか個性となっていたのは、ロッドの正式に教育を受けたと思われる鍵盤と、コリンの湿度の高い特別な声色に負う所が大きい。それと今回は来ていないクリス・ホワイトのコンポーザーとしての能力、それをもって初期のゾンビーズの理知的な狂躁という事だと思う。1曲目のロードランナーのカヴァーもプリティ・シングスの猛々しいそれとは違う。陰影の深い、オリジナルな高揚感。「Begin Here」を憶う印象はそれである。

        • -

シングルまで網羅すると所謂GSとリンクするゾンビーズも今回しっかり披露される。でもやっぱり期待したのは数奇な名盤「Odessey And Oracle」の脆く儚いポップソング群。中盤にそれは6曲立て続けに演奏された。サージェントペパーズの隣のスタジオで録音されたこの2ndはリリース時に既に"ザ・ゾンビーズ"は存在していなかったとかなんとか。最初の(?)解散後であった。メロトロンがたおやかに漂うポップな楽曲群はサイケに処方される幻想性や楽天性、虚無感の類いは極力少量に調合された、エヴァーグリーンな、マスターピースな、愛すべき表裏、数十分間である。キラーな"独房44"が最初に演奏され、まだ初日はロッドがコーラスを付ける事が出来たので"エミリーに薔薇を"、続いてクリス・ホワイトの曲ですとコメントがあって"This Will Be Our Year"が演奏される。

なんというメロディ!なんという転調!なんという多幸感!なんという....キリが無いくらいの謝辞を客の皆が思い浮かべたろう。2分足らずの魔法の時間。あまりにあっという間に終わるので、3日目の演奏はテンポを落として彼等は演奏したのだ!

        • -

次いで、コリンのソロからの"I Don't Believe In Miracles”やアラン・パーソンズ・プロジェクトでの唄入れ曲までやったならば、ロッド率いたアージェントも...と思ったら本当に"Hold you head up"を演奏しはじめた。多分に諸外国では認知されたこのヒット曲はこの下北沢ではやや分が悪い。思うに欧米でのこの曲の扱いはスポーツ観戦でのチアアップ曲のようなもんでははなかろうか。"伝説のチャンピオン"がサッカー勝者のカップ贈呈時にかかるあの感じ。まあアージェント、大好きですから自分は全く問題無し。ロッドの鍵盤がもうプログレのそれとなって脳の別の扉を刺激される。そうこうしてたらアンコールで来た!大大好きな曲、“God gave rock and roll to you" 笑ってしまった!

知り合いからダビングしてもらった英国BBCの「オールド・グレイ・ホイッスル・テスト」のこの映像を何度見た事か。まさかゾンビーズ名義でこの曲が聴けるとは。ラス・バラッドはどうしているのだろう。映像では70年代らしくロッドの衣装がフリフリで、エンジェルのグレッグ・ジフリアあたりはアージェントも参考にしていると思うなあ。ここでベースを弾くジム・ロッドフォードも目の前に居るんだと思うと急に感慨深い気持ちがどっと湧いて来て、ゾンビーズを観に来て、アージェントを観てしまった!という気持ちにシフトしてしまった(笑。サビを唄えとメンバーは煽るのだが、いや、そんなに日本ではヒットしてないので無理だよ、と思いながら精一杯頑張って唄いました。気を使わせるなあ(笑。ブレイクの後のアルペジオのギターもトムは完璧に弾きこなし、半分プログレなハードロックの迷曲は大円団となる。
その後に最期の曲ですとアナウンスして「Begin Here」から"summertime"。ハモンド叩きまくった後にガーシュイン。その落差に戸惑いながらもコリンが奥行きの深い唄声を聴かせると場は宴の終焉なのだという事を教えられ、ここにいた皆は名残惜しくも切ない気分になってしまった。

                                                                                                                                                                • -

書きたい事はまだ沢山ある。
3日目、喉が痛いのだろう、声が裏返るロッドが頑張って進行する。声が出ないのでいつもの倍、ハモンドを廻します、いや弾き倒しますと宣言したその日のインタープレイは凄かった事。
対バンのエディ・レジェンド・ストーリーがフロントアクトとはこういう事だとバッチリ提示して嵐の様に去って行った格好良さ。完璧な様式美だったMAD3を終わらせ、齢40を越えたエディさんがやってみせた事はゾンビーズの革新的だった多面性をガレージの方向から炙り出すという難易度の高いものだった。
あとブランストーン氏は全く進行とかが苦手な、少し浮世離れした印象の、しかしナイーブを声色で書き記す事が出来る特殊な能力のシンガーであるという事。スティーヴ・ハケットとかデイヴ・スチュワートに呼ばれるとかキーツであるとか、アランパーソンズプロジェクトしかり、あの喉ではないと駄目なので彼は所望されるのだという事。それは勿論多大な努力もあるだろうがやっぱり何か魔法が備わったタイプの唄い手だと改めて思った。

campolano

お題に対してデザインのアイデアが自動筆記の様に湧いてくるような訓練を日々するべきなのだろう。それが出来ないので駄文を綴ったりしてるとどうにかなるかと前回の日記のようなものをアップしてはみるものの、ただのsuperflyについての謗りみたくなってしまう。まあsuperflyに悪態つくのはいくらでも可能ですが。バックボーンの無い声量だけある女の子が付き合った男の趣味に引っ張られ、ジャニスとか他3つくらいのソースから音楽を始めては見たがレコード会社の親爺達のロックな気分の慰み者となってしまい、ロックな歌姫を背負わされて、しかしバックボーンが無い故、ただ大声でメロディを振りまわすだけのロックのようなものにまた親爺たちは結構いいよねみたいな。何をあんたらは聴いてきたのだ。眼が濁っているのか。

ああ、仕事のやり方についての話だった。で、くすぶるその日の気分は夜、SAKANAのライブを観に行く事で紛らす事とした。

        • -

新宿ロフトにオープン定時に入り幾つかの対バンを観る。ケヴィン・エアーズだったかブリジットst.ジョンだったかのカヴァー曲を知らない2人組が演奏しているのをぼんやり眺めていると、懸案の仕事がうまく進まない事も次第に忘れている。
9時を廻ると幕が開き、SAKANAの2人が現れ、いつものように訥々と演奏が始まる。PAの位置なのか、ポコペンさんの声が遥か遠く、高い所から降るように我々に届く。受胎告知の絵画のような細い光が漏れるみたいに。新譜「Campolano」からの楽曲の印象は、ボッサのコード感を伴って水が滲みるかのような柔らかい旋律と、以前とはすこしニュアンスの違う西脇氏のギターのトーンがうまく絡んだ、静かな多幸感に溢れたものだ。西脇さんのすこしビザールなシェイプの(ダンエレクトロ?)ギターはすすけた緑色をしており、不思議にもその音色は緑色である。そういえばマーク・リボーの音色は黄土色なのに少し角度が変わるとコガネ色に見えるね。ヴィニ・ライリーはマンチェスターの雲色だ。西脇さんの簡素なそのトーンは玉虫の背中の青と黄色の混ざった緑。
45分くらいの短い演奏時間が終わり、真水を一杯飲んだように頭がしゃんとした気持ちになり、刺々しい気分だったその昼間の自分は、また何所かに出かけていってしまった。

        • -


SAKANA HP__http://www.h6.dion.ne.jp/~sacana/index.html

        • -

暢気なもんで、その翌日、朝一番でMacに向かい、懸案事項のタイトルロゴを組んでみると、かたかたと歯車が廻りだしポロポロとアイデアや思考の整理が始まった。フィールド・ワークだとは言わないものの街に出て風を切ったり匂いを嗅いだり、五感をつついてみると物事は機能し始めるという摂理を教えられる。ふらりと外を徘徊するその良き確証、というよりライブハウスにダラダラと遊びに行く家人に対する勝手な(うしろめたい)口実を書き留めているだけとも言えるけど。

                                                                                                                                                                • -

先日オークションでレコードのクリーニング・マシンなるものを落札した。


米国ニッティ・グリッティ社のもの。今、国内にはこの品番NittyGritty2.5Fiは入って来ていないみたい。バキューム機能と回転機能があるものといえば、キース・モンクスやVPIも有名です。ニッティ・グリッティ社はややそれらに比べてコンパクトであるし、なんといってもオールドな木目調がいいと思う。家人はその落札に神妙な顔つきであったが実物見ると、あら、可愛い、との事で一安心...。

        • -

自分なりのクリーニング方法を考える。まず乾式クリーナーで埃を取る。次に自分で調合した洗浄液(精製水+無水アルコール+界面活性剤)を無印の化粧品用ボトルで盤にスプレー。レイカのA液の代わりです。これをレイカビスコの代わりの安価なベンコットという布でまずざっと拭き取る。ここで茶色い汚れや指紋、カビなどを除去。その後、スプレーでもう一度洗浄液をまんべんなく、やや多めに吹く。それを米国VPI社のブラシにて盤をブラッシング。

これはネットで探すと歯ブラシのデンターシステマの毛先とかが代用となるみたいですが、如何せんLPレコード用には4つ程繋げなくてはという無謀な工作が発生するので米国から通販で購入。送料併せて18ドルくらい。
http://www.elusivedisc.com/prodinfo.asp?number=HW-3117
毛先で盤の溝から塵を掻き出すイメージでブラッシングしたら、それをニッティ・グリッティに乗せる。スイッチを入れるとバキュームが始まるのだがしかし、噂通りにこれ、本当に五月蝿い...。結構熱くなるし、15枚程で一度休憩推奨みたいな事らしい。この液体を吸い取った後に溜まるタンクがあり、プッシュボタンがあるので多分そこ押して排出という構造みたいである。なかなかに良く出来ていると思う。実際は超音波洗浄なんかの効果の程と比べるとどうなんだろうとは思うが。外周に少し液体が残るのはベンコットで拭き取って乾かす。
それをSK-EXという帯電した静電気を取る魔法の箱に入れる。
http://www.yukimu.com/products/SFC/OLDMODEL/SK_EX/a09a1/skex.html
この除電素材をフェルト状に加工したサンダーロン・フェルトとやらを敷き詰めた箱にレコードを入れるとほぼ静電気が0になる。実は何よりアナログ盤のアクセサリーとしてはこの箱が有効だと思っている。レコードのサーフェスノイズより静電気のほうがノイズの発生源としてはSNに影響があるだろう。帯電防止の液体を使うよりターンテーブルに乗せる前に入れる癖をつけたほうが得策だと思う。ここに30秒程入れて終了。最初に試してみたバーニング・スピアの「マーカス・ガーヴェイ」VG++、細かいキズ盤から出るチリチリも半分くらいに聴こえる。

        • -

使ってみて思ったのは、この類いのクリーニング・マシンは猛者であれば掃除機で工作出来るかもしれないがそんなことすると見た目はもう問題外であろう。VPIのマシンなど550ドルくらい、日本までの送料併せて800ドル強。同じものを日本の代理店は11〜13万くらいで売っている。一瞬VPIを、と思ったがこの木箱の様なニッティ・グリッティがアメ車の木目のワゴンとかが阿呆みたいで可愛いと思う自分には結構ツボなのです。同士のレコード(掃除)馬鹿の皆さん、ゴッドブレスユーそしてユールネヴァーウォークアローン。

神が降りてこない

デザインの神様が。

だから落ち着かず。twitterで毒づいてみたり、どうでもいい写真撮ったり。


        • -

あのー、superflyって女の子のアルバムカヴァー、
ジョニ・ミッチェル「逃避行」そっくりなんですけど。

恋することのもどかしさ

こんなの拾った。友達とはぐれた猫と親切な男。



ぬこ「...えー。あのー。みんなどっち行ったか知ってますか?」
男「ん? あっちみたいよ」
ぬこ「アリガトウサギ!」

                                                                                                                                                                • -

またもやアンコの話。
頂き物の豆大福。神宮前の瑞穂という店の豆大福。
http://r.tabelog.com/tokyo/A1306/A130601/13001154/


まず口にしたらほんのすこしの塩気のある粉の味がする。続いて来るこしあんの甘さと絶妙にすこしの塩加減が混ざって、頬がニターと緩む。ほんとうに美味しいお土産を知っているひとというのは居るわけで、それは作法に長けたそのひとの日常を見るような気がした。

                                                                                                                                                                • -


Paul Mccartney "Mccartney" /Original Recording Remastered, Special Edition/2011
中学生の頃、深夜ラジオあたりで初めて聴いたウイングスの新曲「ハートのささやき」。当時最新アルバムだった3枚組の”USAライヴ”からのシングルカットだった。原題は”Maybe I'm Amazed"で、ビートルズ崩壊後の最初のソロアルバムの、今思えば、多分、リードトラック。今現在もポールはライブでほぼ演奏している事からも察する。
この曲がファーストアルバムの時点では「恋することのもどかしさ」という邦題だったことを20代に300円くらいの中古の日本盤で買って、そこで知る。何故2つも邦題があるのかは知らない。恋する事はアメイズドでコンフューズドであるから、「恋することのもどかしさ」でいいと思う。そのもどかしい気持ちは亡くなったリンダ・マッカートニーに向けたもので、2番目の細君には慰謝料ごっそり持って行かれた後、最近3人目の奥君(若く無い)を娶ったポール。皆がもどかしい気持ちで居ます...。
話を戻すと、バンド・オン・ザ・ランに次いでのリマスター・シリーズという訳で発売されたばかりの”マッカートニー”を買ったのである。購買意欲は何所かというと「恋することのもどかしさ」がリマスターヴァージョン含め、デモ、ライブと3曲入っているからで、繰り返しそればかり聴いている。

        • -

リマスタリングはガイ・マッセイとスティーヴ・ルーク@アビーロードスタジオ。HDトラックスからFLAC音源が今なら20ドル以下でも販売されている。早くにアマゾンにて予約したのに今のユニオン店頭で500円も安いのは如何なものか。この辺の見極めが難しい。今はピュア・オーディオ的には何を購入すべきか。結局(所詮)詰まる所データという事になってしまっているわけで。

ジャケの作りはここ最近のビートルズ復刻紙ジャケ風CD仕様・変な白ふち付で、プロダクトとしては微妙な感じではあるが、このオリジナルジャケット自体の謎のザックリした意匠は好きだ。裏の写真でポールが抱く赤ちゃんは次女のステラ・マッカートニーだとずっと思っていたら長女だったみたい。ブックレットの長女だと思っていた女の子はリンダの連れ子の様で。ステラは今やスターデザイナーと成ってしまったね。ステラ・バイ・スターライトと心の中で呟いてみる。

このアルバムの素敵な所はポールが演奏を重ねる脇で座ってそれを聴いているかのような錯覚に陥る、そういう体験が出来る彼のただ一枚のレコードである所だ。アルバムには10曲以上あるが彼の様な立場以外の作家がレコード会社に聴かせたら駄目を出される曲が8〜9曲。エミット・ローズやクリス・レインボウならやり直し。「恋することのもどかしさ」と「エヴリナイト」が合格点。敢えて言えば「恋することのもどかしさ」は"ジョンの魂"ならば「God」だ。ただ単に資質が恋愛体質なのがマッカートニー氏なのだ。歌詞は歌詞でしかないポールのその素晴らしさ。いやどっちがエライもないけど。

        • -

ワインをやりながらポールはピアノをぽろぽろ弾く。鼻歌を録音している。その部屋に招いてもらっている。それは手ぶらではもうホント申し訳ない。美味しい豆大福を持参するくらいの。そのくらいパーソナルな疑似体験を強いる不可思議なレコードだとリマスター盤聴いて実感している。


2通の荷物

ねことねこが力をあわせてみんなのしあわせを守ります

ネットで拾った画像。うん、せめて、ぬこの手も借りながらがんばろう。
というか、ネジれたりペテン野郎がペテン師発言したりこんなになってもまだ”推進する為の”トップ降ろしに終始したり。ちゃんとしようよ。

                                                                                                                                                                • -


日々アマゾンとかから届く音源の力を借りながら仕事をしています。さっき郵便で届いた2通の荷物を開封

        • -

CDが一枚。フィーリーズの新譜。早速聴いてみる。
繊細なカレッジ臭の強い1stが当時は最高だと思っていた。6年経って発売された2ndはドラムのアントン・フィアは抜け、パーカッシヴなパキパキしたアンサンブルは聴かれずグレンとビルの2本のギターの絡みは残すものの、こなれてしまった印象の方が強くヴェルベッツの子供達の亜流に聴こえた。でも今は2nd以降の彼等もとても好きだ。多分にそれはその後にバーズであるとかビッグ・スターだとか、大きな河に足を浸けてみて分かる気持ち良さだったと気づいたのだ。モビー・グレイプを、スキップ・スペンスを聴いた後にテレヴィジョンの痛快さを知るのも同じ事だ。細い川の水辺でしか遊んでなかったら2nd以降の枯れたたおやかな普遍性は判らない。20年ぶりという新譜は落涙する程に瑞々しく、まるでVUの"loaded"の中の1曲の如し(その文句は賛辞と理解してください)の8曲目のギターソロで耳たぶが熱くなるのを感じる。ヨ・ラ・テンゴのアイラあたりも同じとこで悶えると勝手に察する。

The Feelies "Here Before"/2011/BAR NONE ENT

                                                                                                                                                                • -

もう一通はアナログ2枚組。

FLEETWOOD MAC "RUMOURS"
2LP/WEA/Reprise Limited Edition/180g/45rpm LPs
●AcousTech MasteringのKevin GrayとSteve Hoffmanによるオリジナルのアナログマスターテープからのカット、ドイツのPallas Recordsのプレスによる、こちらはアメリカで3,500枚限定の180g45回転重量盤2枚組LP、スペシャルデラックスパッケージ仕様。

今年のRECORD STORE DAY限定商品という告知をディスクユニオンで知る。ユニオンだと5800円。3月にUSアマゾンに注文して送料込で38ドル。で、4月のRECORD STORE DAYが終わって忘れた頃にやってきた。

        • -

ダウンロードのハイレゾ音源が高音質は判っているがやっぱり聴き馴れたレコードを良い音で聴きたいではないかと、思ってしまうのがもう思うつぼというか...。だって「噂」ですから。
結局「噂」だけで何枚持っているのかというと、4〜5枚あります...。状態の良い米オリジナルを求めて、やっすい「噂」を集めている。ただUK盤程情報が無く、これが「エイジャ」とかワーナーのグリーンレーベルとかならネットに情報も転がっている。でも1977年の米国リリースだといまいち掴めない。ただこれも盤が分厚いものがあったり(必ずしも初期盤が厚いかは知らない)、マザースタンパーやジャケットの印刷の具合だとか総合してこれが初期盤だろうか、というのはあるのだが、2000万枚売れたLPですから...なにがなんだか。
でもこの「噂」がリアルタイムの最初のフリートウッド・マックで、思い入れは強い。シングルカットされた「ドリームス」「ユー・メイク・ラヴィン・ファン」、「ドント・ストップ」あたりはラジオでよく聴いたものだ。最初の来日はミュージックライフなんかでカラーグラビア見て、とにかくスティーヴィー・ニックスが透けた素材のヒラヒラした服を纏っているという印象ばかりだ。鼻の頭を指ですこし押したような可愛さ、というのは今時の誰かにそういうの居ない事に気づく。プラスティックが真っ直ぐ鼻に入った状態を良しとする昨今の美意識とは真逆かもしれないが、当時はそういう”鼻の頭が少しだけ押され顔”のミューズが確かに存在したのだ。木之内みどりとかね。

        • -

新マスタリング盤「噂」と旧盤との音質の違いは週末まで取っておく事にした。ジャケットはオリジナルの全面エンボスの風合いに忠実ではなく、表1のミックとスティーヴィーのモノクロ写真の上だけにグロスニスをかけた仕様である。地色もオリジナル盤はベージュがもっと強い。ダブルスリーヴにアナログ2枚。まあギリ、デラックス仕様かな。海外のフォーラムで斜め読みした所に依ると2枚組と1枚盤とでマスタリングが違うとか。次作の「タスク」がデジタル・ミキシングの最初期の作品である事を踏まえても、最高に豊潤な予算でアナログリールにて記録された極めて最期の贅沢な録音物の一枚であろう。
そういえば少し前にyoutubeで76年のスティーヴィー・ニックスの唄うこの”ライアノン”を観たが、可憐な小悪魔イメージではなくグレース・スリック直系のアシッド臭い、別珍の様な唄声を聴かせており、すこしビックリした。多分に気分にムラのあるこの歌姫のピークは70年代中盤から後半であり、「噂」だと"ドリームス"だが、このアルバムの歌唱は少しチャート寄りに録音されている気がして、次作「タスク」の7分にも及ぶアンビエントなシングル曲”sara"が個人的には彼女のベスト・パフォーマンスだと思っている。

Fleetwood Mac "Rhiannon"Live 1976

        • -

10年程前、サンフランシスコを車で旅行した時、サウサリートという葉山(?)みたいな街を高い所から見下ろした。
沢山のヨットが停泊する小さな、寂れた印象の街。そこが確かフリートウッド・マックが「噂」を録音したスタジオが在る場所だったはずだ。何かそれだけを豆知識として覚えていて、70年代の米国ポップミュージックの(無駄に)豊かな土壌と、西海岸のミュージシャンのコカインに興ずる享楽的な喧噪を憶ってぼんやりと眺めた事を思い出す。