2011-2-19/20 私的名演見学忘備録 :Deaf School

あーもうスゴイ脱力感。
昨晩観に行ったデフ・スクール、最終日の今日はワンマンだそうだ。今知った。迂闊だった...。
頓珍漢な前座のバンドを観させるハメにもなって、初日を誘った友人にも申し訳無い気持ちになるなあ。今この時間から高円寺に向かうと間に合うがもう他に今夜のチケット代は廻そう。あー、もうヤキが回ったな俺......

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(ここまで昨日書いた)


そう愚痴りながら日記を書いている横で「間に合うんなら行ってきたら」と家人が言う。逝ってよし、いや、今日も行って良しとお許しを貰う。

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高円寺まで車を飛ばしてコインパーキングから小雨のそぼ降る中を小走りで。昨日も来た会場のHIGHに開演10分前に着く。東京一は日本一のバンドのK氏が誰かを待つでもなく入口前に立っていた。その横を抜けて当日券を買う。ゾンビーズの7月来日のチラシを渡され、ブランストーン&アージェント名義だと満杯にならないのにゾンビーズだと違うんだろうなとか、そういえばラヴゾンビーズもここんちは呼んでたなあとかナントカ、んな事考えながら階段を降りる。

さっきまでソファでブスブスと燻りつつCSチャンネルの「ジュールズ倶楽部」を観てたのに今は高円寺に居るよ。歓迎するかの様にスクイーズの"take me I'm yours"が流れる会場を見渡すと昨日の8分の入りくらいである。ちょっと拍子抜けではある。やっぱり対バンは葡萄畑かシネマか、そういうのが気分だよなあ。そんな上手くは出来ていない。
ニッチな英国モダンポップのヒエラルキーの頂点にあるとされるデフ・スクール。3枚のスタジオ盤と再結成のライブ盤は勿論好きだけど天の邪鬼としてはスティーヴ"アヴェレイジ"リンゼイのザ・プラネッツの1stが一番好きです。スキップ・ビファティ〜ブロックヘッズの連中とか、リバプール人脈でバンシーズのバッジーがslitsの"cut"と同じくらいのシャープなドラムを聴かせる素敵なバッキングで、もう大好きなレコード。昨日は取り敢えずそのプラネッツのレコード、デフ・スクールは"english boys~"を、あとオリジナル・ミラーズのレコードとクライヴ・ランガー&ボクシズのレコードを鞄に忍ばせた。おっとベット・ブライトのソロも。

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客電が落ち、とことこと1人メンバーが出て来る。クライヴ・ランガーだよ。あのクライヴ・ランガーが高円寺でお世辞にも多いとは言えないファンの前に赤いテレキャスをギャンギャン鳴らす訳でそれはもう何かの幸せな間違いの様な光景である。
続いてゾロゾロと出て来るは英国ソープドラマのキャストの如し、紛れも無い小劇団デフ・スクールの面々で、それが鬼籍に登ったメンバーはいれど、若いドラムス以外はアルバム”English Boys〜”のメンバーが6人、高円寺に居るなんてねえ。感慨深いとしか言えない。その若いドラムスの彼がしっかりと屋台骨と成り、あの不可思議な楽曲が次々と演奏される。元々達者な彼等は多分ロキシーミュージックより演奏技術は確かであろう。

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リバプールという或る意味英国ポップ音楽において鬼門の様な町で活動する事を命題とさせられた70年後半のバンド達は複雑にメンバーが交錯して独特の英国の香りを漂わせていて、中央ロンドンとは多分に違うであろうイナタさが我ら日本人には裏の英国街道、即ちニッチとも呼ばれる珍味の様な、嗜めば嗜むほどに抜けられなくなる類いの物となっている。それに嵌ってしまった、決して多くはないけども熱心な我々はまたもや英国音楽の底力というか臭気に、トリコ仕掛けとされてしまった。我々の興奮が初日の方はバンドにも伝染していた気がする。
デフ・スクールにおける"恋はドラッグ"であろう"TAXI”は円熟味というか相当に燻されたものと成っており、スティーヴ・アレン演じるエンリコは小さなマーロン・ブランドーの様に我々の眼には映った。"final act”を本編最期に唄ったベット・ブライトはニノチカガルボであった。ベタだけど。でもそれは告知も充分で無かった2日間の東京だけの公演を観る事が出来た御同輩には理解いただけると思う。我々はラッキーだったのだ。





ベースのスティーヴ・リンゼイが唄ったプラネッツのレコードでも再録された"Darlin"、最高だった。DJごっこでよくかける"Operator"で終われば自分的に大円団だったけど演らなかった。初日の雰囲気の方が断然良かったけど、2日目行かれた方は最期の最期でエンリコが2ndハネムーンのジャケみたいなアロハ着て出て来た、それが観れたのはこれもラッキーだったと言えると思います。

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終演後のサイン会でエンリコに「次はオリジナル・ミラーズですかね」というと「イアン・ブロウディに言っとくわ」と言われました。イエー。

R.I.P. Eric Shark & Tim Whittaker

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追記。
マネージャーみたいな人が「Eric's」とプリントされたTシャツを着ていて、ソレ売って!と言いたくなった。